Classiques japonais avec furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lisez 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 741 caractères · 486 écrans
私は金網にとりついている河鹿の腹を指さきで押して水の中に落したり、金網越しに如雨露の水をかけたりした。餌には蠅や油虫をやった。揚屋町のある台屋に、その料理場に繁殖したものだろう、油虫をもらいにやらされた覚えがある。冬の間には河鹿を大きな瓶の中に入れてうえから海綿をかぶせ蓋をして湯殿の隅に置いた。瓶の中で河鹿は冬眠したのだろう。夏になって瓶から出そうとしたら、沢山いたやつが一匹残らずいなくなっていた。誰かが瓶の蓋を動かした形跡があり、その隙間から河鹿は逃げたものらしかった。犯人はすぐわかった。えつやであった。えつやが湯に入ったとき、こっそり海綿を取出してそのあとよく蓋をしておかなかったのである。えつやも年頃であったから、海綿で顔を磨きたかったのだろう。ある日私は学校の帰りみちに鞄から筆箱を落した。家に帰ってから気がついた。道に落ちているだろうから探してこいと祖母が云った。誰かが拾って交番に届けてあるかも知れないから聞いてこいと云った。私はえつやに附いてきてもらった。往来には見あたらなかった。私は交番へ行ってお巡りさんに聞くのは恥しかったので、えつやひとりに行かせた。