Classiques japonais avec furigana
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らくご・きょうそれつでん
落語・教祖列伝
Lisez 落語・教祖列伝 (らくご・きょうそれつでん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 807 caractères · 28 écrans
どうしても、つかまらない。
そのとき土手の上で、この一部始終を見物していた数名の武士があった。家老柳田源左衛門その他の者。遠乗の途中であった。
「コレコレ。その方どもが追いまわしているのは河童であるか」
「いえ。カメの野郎でござんす」
「ハハア。カメが芋の葉の下に隠れて息を使うか」
「いえ。カメという人間でござんす」
「まったくの人間か」
「へえ。もう、親の代からの人間でござんす。オカにいるときはバカでござんすが、水へくぐると河童のような野郎で、手に負えません」
ここの殿様は大変武芸熱心であった。諸国から武芸達者な浪人をさがして召し抱えるのが道楽である。しかし、パッとせぬ小藩だから、天下名題の名人上手は来てくれない。自慢の種になるような手錬の者がいないから、殿様は怏々としてたのしまない。
源左は不思議な術者を発見したから、これを殿に差し上げたら面目をほどこすだろう、と大そうよろこんだ。
「コレ、者ども、控えろ。カメをこれへ連れてまいれ」
「へい」
鶴の一声。御家老様の命であるから、舟の者はオカへあがって控えたが、カメをつれてまいれたって、これだけ追いまわしてつかまらないのに、ムリなことを云う人だ。