Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あしはみていた

葦は見ていた

山本 周五郎

Lisez 葦は見ていた (あしはみていた) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 985 caractères · 36 écrans

Aozora Bunko

――あたしにですって。

――おまえがおれの妻なら、当然それはおまえに伝わるものだ。

おひさは珍しそうに、それをうち返し眺めた。それは青銅で鋳た八花形の手鏡で、直径四寸ばかり、裏に竜の浮彫があった。

――ずいぶん古いものらしいわね。

――漢鏡というから、千年以上も昔のものだろうね。

――では、たいそうな値段でしょう。

――よく知らないが、売るとすれば相当なものらしいよ。

おひさは魅せられたように飽かずその鏡を眺めていた。そして深い溜息をつき、やがてさもさも惜しそうに、元の匣の中へしまった。

――あたしには勿体ないわ。

――おまえのものなんだよ。

――こんな尊い高価な物なんて、あたしなんかには勿体ないことよ。

おひさはそれを元あった場所へ戻した。

「それはいつごろのことだ」と東次郎が訊いた。

「つい二十日ばかりまえだ」

「そしておれが来たんだな」

「初めて杉丸が来た」と計之介が云った、「おれは杉丸の顔を見たとき、いよいよこれでけりがつくだろうと思った」

そのとき彼は初めから逆上していた。

東次郎は穏やかに話そうとした。東次郎はがまんできるだけがまんし、もうそれ以上がまんができなくなって来たのであった。