Classiques japonais avec furigana
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ふとん
蒲団
田山 花袋
Lisez 蒲団 (ふとん) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 870 caractères · 90 écrans
そして自分ながら自分の意気地なく好人物なのを罵った。
時雄は幾度か考えた。寧ろ国に報知して遣ろうか、と。けれどそれを報知するに、どういう態度を以てしようかというのが大問題であった。二人の恋の関鍵を自ら握っていると信ずるだけそれだけ時雄は責任を重く感じた。その身の不当の嫉妬、不正の恋情の為めに、その愛する女の熱烈なる恋を犠牲にするには忍びぬと共に、自ら言った「温情なる保護者」として、道徳家の如く身を処するにも堪えなかった。また一方にはこの事が国に知れて芳子が父母の為めに伴われて帰国するようになるのを恐れた。
芳子が時雄の書斎に来て、頭を垂れ、声を低うして、その希望を述べたのはその翌日の夜であった。如何に説いても男は帰らぬ。さりとて国へ報知すれば、父母の許さぬのは知れたこと、時宜に由れば忽ち迎いに来ぬとも限らぬ。男も折角ああして出て来たことでもあり二人の間も世の中の男女の恋のように浅く思い浅く恋した訳でもないから、決して汚れた行為などはなく、惑溺するようなことは誓って為ない。文学は難かしい道、小説を書いて一家を成そうとするのは田中のようなものには出来ぬかも知れねど、同じく将来を進むなら、共に好む道に携わりたい。