Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふとん
蒲団
田山 花袋
Lisez 蒲団 (ふとん) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 870 caractères · 90 écrans
「折角支度したから、食ったらどうです。もう暫くは一緒に飯も食べられんから」
「先生――」
と、芳子は泣出した。
時雄も胸を衝いた。師としての温情と責任とを尽したかと烈しく反省した。かれも泣きたいほど侘しくなった。光線の暗い一室、行李や書籍の散逸せる中に、恋せる女の帰国の涙、これを慰むる言葉も無かった。
午後三時、車が三台来た。玄関に出した行李、支那鞄、信玄袋を車夫は運んで車に乗せた。芳子は栗梅の被布を着て、白いリボンを髪にして、眼を泣腫していた。送って出た細君の手を堅く握って、
「奥さん、左様なら……私、またきっと来てよ、きっと来てよ、来ないでおきはしないわ」
「本当にね、又出ていらっしゃいよ。一年位したら、きっとね」
と、細君も堅く手を握りかえした。その眼には涙が溢れた。女心の弱く、同情の念はその小さい胸に漲り渡ったのである。
冬の日のやや薄寒き牛込の屋敷町、最先に父親、次に芳子、次に時雄という順序で車は走り出した。細君と下婢とは名残を惜んでその車の後影を見送っていた。その後に隣の細君がこの俄かの出立を何事かと思って見ていた。猶その後の小路の曲り角に、茶色の帽子を被った男が立っていた。