Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くらのにかい

蔵の二階

豊島 与志雄

Lisez 蔵の二階 (くらのにかい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 351 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

塩は何のまじないなのであろうか。不吉な上に嫌な気持ちだった。

カヨは手を洗って、独語のように言う。

「蔓が生えるようでは、この家もあぶなくなった。」

そして久子に、卵酒を拵えてくれと頼んだ。

カヨが昼間から酒を飲むことは、これまでになかった。特別なことで、草のせいなのであろう。

二階がいつまでもひっそりしているので、久子は階段をそっと昇って、覗いてみた。カヨは卵酒を飲んで、そのお盆を階段口に押しやり、机の上に写経の巻物をひろげ、その上に両手を置き顔を伏せて、眠っている。坐った姿は小さく、頬は白く、赤毛や白毛の髪が、少し乱れたまましんと静まっている。猫の姿は見えなかった。その猫を眼で探すことさえ久子は恐れ、お盆を持って階段を忍び降りた。

その晩、カヨは夕食に降りてきて食卓にはついたが、箸は取らなかった。蔓のことを久子から聞いていた桂介が、カヨの顔色をちらちら窺っていると、カヨは、家の壁を白く塗り直そうと言いだした。

「土蔵の壁のままでは、それも剥げ落ちてますからね、あまりみっともないですよ。あれでは蔓だって生えます。白く塗り直しましょう。」

独りできめて、独りでのみこんでいるのである。