Classiques japonais avec furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lisez 薄紅梅 (うすこうばい) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 61 133 caractères · 122 écrans
」
お嬢さんは手を引込めた。枯野の霧の緋葉ほど、三崎街道の人の目をひいたろう。色ある半※(「巾+白」、第4水準2-8-83)も、安んじて袖の振へ納った。が、うっかりした。その頬を拭った濡手拭は、火鉢の縁に掛っている。
女房はさまでは汚がらないで、そのままで、
「――学生さんの制服で駈戻って来なさいましたのは水道橋の方からでございましょう。お稲荷様の鳥居が一つ、跨を上げて飛んで来たように見えたのですけれど、変な事は――そこの旅宿と向うの料理屋の中ほどの辻の処からだったんだそうでございましてね――灰色の雲の空から、すーっと、細いものが舞下って来て、顔から肩の処へ掛ったように思われたんでございますって。最初、蜘蛛の巣だろう……誰だってそう思いますわ。
身体をもがいて払うほどの事じゃなし――声を掛けて、内の前をお通りなさいました時は、もうお忘れなすったほどだったそうなんですが、芝居の前あたりで、それが咽喉へ触りました、むずむずと、ぐうと扱くように。」
「いやですねえ。」
「いやでございますことね。――久女八が土蜘蛛をやっている、能がかりで評判なあの糸が、破風か、棟から抜出したんだろう。