Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぐびじんそう
虞美人草
Lisez 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 559 caractères · 401 écrans
からりとした勝手には茶釜ばかりが静かに光っている。黒田さんは例のごとく、書生部屋で、坊主頭を腕の中に埋めて、机の上に猫のように寝ているだろう。立ち退いた空屋敷とも思わるるなかに、内玄関でこちこち音がする。はてなと何気なく障子を明けると――広い世界にたった一人の甲野さんが立っている。格子から差す戸外の日影を背に受けて、薄暗く高い身を、合土の真中に動かしもせず、しきりに杖を鳴らしている。
「あら」
同時に杖の音はとまる。甲野さんは帽の廂の下から女の顔を久しぶりのように見た。女は急に眼をはずして、細い杖の先を眺める。杖の先から熱いものが上って、顔がぽうとほてる。油を抜いて、なすがままにふくらました髪を、落すがごとく前に、糸子は腰を折った。
「御出?」と甲野さんは言葉の尻を上げて簡単に聞く。
「今ちょっと」と答えたのみで、苦のない二重瞼に愛嬌の波が寄った。
「御留守ですか。――阿爺さんは」
「父は謡の会で朝から出ました」
「そう」と男は長い体躯を、半分回して、横顔を糸子の方へ向けた。
「まあ、御這入、――兄はもう帰りましょう」
「ありがとう」と甲野さんは壁に物を云う。
「どうぞ」