Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Lisez 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 662 caractères · 174 écrans

Aozora Bunko

そして間もなく金魚は一塊の朱になり、それも次第に黄ろい濁りを鱗の間に融かして浮び上って来た。

大抵、私は書きはじめると書き損じはしない方であったが、それは原稿という紙を引き裂く鋭い音が何時も嫌いで、山を裂くように怖れたからだ。それが今日は殊更に頭に来て生き物の死に影響するような気がし、書き損じの原稿紙を四つに畳み、さらにそれを又四つに折って雑誌の間に片づけて了った。そして山を裂くような音響を封じたことが嬉しかった。

永い作家生活の中でも、ひょんな事から、妙にその作品が成功したとも成功しないとも限らないのに、頭にのこって自分だけがそれを大切にあつかう作品が二三篇はあるものだ、それを書いていた日とか、うごかない動機とかが一綴りの原稿のまわりにまで溢れていて、それを書くことや整えることも出来ないもやもやがあるものだ、人間がつくる霧みたいなものなのだ、凡そ人間の事で書けない筈がないのに、そのもやもやは書き分けられないのである。書くのに破廉恥な事とか、きまりが悪く、あまったるい事とか、文章には表現出来ない顔や性質とか、そういう種類の物が作家のまわりに霧や靄となり、もやもやになって何時も立ち罩めている。