Classiques japonais avec furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lisez 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 662 caractères · 174 écrans
」
「男にもその茫然自失の時がある、厠の中なんかでそいつに、取っ憑かれると放してくれない奴がいる。」
「名状すべからざるものだわね。」
「まさにそうだな、名状すべからざるものだ。つまり名状とまでゆかない生々したものだ。きみはそんな時どうする。」
「あたい、じっとしているわ、その考え事がすうと通りすぎるまで待つより外ないわ、来ることも迅いが、去ってしまうのも、とても素早い奴なのよ。」
「それ何だか判るか。」
「きょうという日が、あたいならあたいの中に生きている証拠なんでしょう。」
「そう言うより外に、言いようがないね、」
「それは嬉しいような場合がすくないわね、嬉しい事というものはそんなふうには、来ないものね、嬉しくないこと、つまり悩むということはからだの全部にとり憑いてくるわね。」
「そろそろきみの飯どきだ、時計が鳴ったぞ。」
「ヘンデルの四拍子ね、ウエストミンスター寺院のかねの音いろって、あまくてあたいには、恰度ねむり薬みたいに宜く効くわ。」
「外まで鳴ると、聴えるか。」
「え、お池のうえに寝しずまると、じゃんじゃんと聴えてまいります。おやすみと言うようにも、また、合唱をしているようにも聴えて来ます。