Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みかん

蜜柑

佐左木 俊郎

Lisez 蜜柑 (みかん) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 618 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

財産など、なんぼあったところで、お墓の中さまで持ってがれるもんでねえし……」とお婆さんの話は、なんだか自分のことを言っているようでもあった。

お美代は前掛けの端を噛んでいた。そして、その前掛けで折々眼を押さえた。

「俺も、若え時、牛馬のように――やっぱり、町の方さでも片付けば……」

「町さもどこさも、おらどこさも、一生どこさも行かねえは、婆さん。」

お美代は到頭、両手で掩うた顔を、お婆さんの布団の端に伏せた。やがて欷り泣きは、声にまでなって来た。

三

「こっちの婆様も、弱ってるぢでねえが?」

声と一緒に、外から障子を引き開けたのは、豆腐を売って歩く弥平爺だった。お婆さんはすぐ眼をあけたが、太陽の光線を受けて眼叩きを繰り返した。寝た位置がよかったので、ちょうど障子の間から出した顔と対していた。

「なんだ婆様、ひどく弱ったでねえが……」

弥平は、頬骨の突き出た白髪の頭をお婆さん方へ寄せた。けれども、お婆さんは、眩しそうに眼を開いたまま何も答えなかった。

「婆さん、弥平爺様だ。豆腐屋の弥平爺様だ。」

お美代は布団を軽く叩いてやりながら言った。お美代の顔には血の気がいっぱい上がっていた。