Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みかん

蜜柑

山本 周五郎

Lisez 蜜柑 (みかん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 307 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

頼宣から叱責されたとき、源四郎はかつて退身しようと考えたのを思いだした。

――やはりあのとき退身すべきだった。

そう思った。けれども「おのれひとり正しと考えるのはみぐるしい」という頼宣の言葉が無念だった。高禄で召抱えられる新参と、小身微禄の譜代の者とのあいだに、もし不測のあらそいがおこってはならぬと考えてしたことを、「眼さきのことにはしる」と云われたのも口惜しかった。

――そうだ、ここで退身してはならぬ、殿にじぶんのまごころが通ずるまでは、どんな微賤なお役でもご奉公をしていよう。

源四郎はかたくおのれを信ずるがために、そしていつかはそれが主君にわかって貰えるであろうと思って、黙々と蜜柑畑ではたらきはじめた。しかし彼のあたまのなかは、

――いつかはわかって戴ける。

――やがてはこの心底がお上に通ずるであろう。

――いや、必ず通じさせずにはおかぬ。

そういう考えでいっぱいだった。

日は経っていった、秋はしだいに深く、畑の蜜柑はつぶらな果皮につやつやと色をもちはじめた。

蝉の声がいつかしら絶え、夜ごとの虫の音に思わず衿をかきあわせることが多くなると、空高く雁のわたる哀れな声も聞えだした。