Classiques japonais avec furigana
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せみのびとぞうけい
蝉の美と造型
高村 光太郎
Lisez 蝉の美と造型 (せみのびとぞうけい) de 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 286 caractères · 7 écrans
左右の二枚がよく整斉を保ち、外郭はゆるい強い曲線を描いてはるかに後端まで走り、内側は大きい波形を左右から合せるように描き、後半は又開いて最末端でちょっと引きしまる。セミは生きている時も死んでからも大して形に変化を来さないが、此の翅の末端だけは違う。生きている時には其がかすかに内側にしまっているが、死ぬと其処が開いた形のままで終るようになる。むろんかすかにしまっている方が美しい。木彫ではこの薄い翅の彫り方によって彫刻上の面白さに差を生ずる。この薄いものを薄く彫ってしまうと下品になり、がさつになり、ブリキのように堅くなり、遂に彫刻性を失う。これは肉合いの妙味によって翅の意味を解釈し、木材の気持に随って処理してゆかねばならない。多くの彫金製のセミが下品に見えるのは此の点を考えないためである。すべて薄いものを実物のように薄く作ってしまうのは浅はかである。丁度逆なくらいに作ってよいのである。木彫に限らず、此の事は彫刻全般、芸術全般の問題としても真である。むやみに感激を表面に出した詩歌が必ずしも感激を伝えず、がさつで、ダルである事があり、却て逆な表現に強い感激のあらわれる事のあるようなものである。