Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Lisez 蝶の絵 (ちょうのえ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 644 caractères · 49 écrans
「いつか話していた『蝶』というのは、津村のことだったのか」
「そうなんだよ……山川は、その一ヵ月ほど前、パナイ島のナンチケへ転出したが、リーナは山川のあとを追って、ナンチケへ行っていたので助かった……それ以来、山川の配属が変るたびについてまわって、終戦当時は、スマトラで同棲していたんだそうだ」
山川がニューギニアに行っていたというのは嘘なので、終戦後、間もなく復員した。リーナのほうは、山川の愛の誓いを信じ、ジャワの花嫁、百何人かにまじって日本へたどりつき、神戸の田辺の寮をぬけだして、一人で東京へやってきた。山川は、母がどうの、姉がどうのと、煮えきらないことばかりいい、約束を履行しないので、リーナが山川の母に逢いに行ったら、お帰りになるなら、旅費は、当方で負担いたしますと、五千円だしたというのである。
「いまのレートでは、十一弗とすこし……それで、どこへ帰れというのか知らないが、リーナ君は、帰るにも帰れないような事情になっている。ネグロス島では、日本人一般に、和ぎえない怨恨を持っていて、親日的な傾向のあるものは、誰によらず、射ち殺してしまうんだそうだ……リーナ君は、国も郷里も捨てて、山川に殉じたわけなんだが、これはもう明白な裏切なんだから、帰ったら命がない。