Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かにこうせん

蟹工船

小林 多喜二

Lisez 蟹工船 (かにこうせん) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 61 890 caractères · 125 écrans

Aozora Bunko

――川崎船が二隻近づいてきたのだった。二隻はお互にロープを渡して結び合っていた。

それは間近に来ていた。然し大きな波は、川崎船と本船を、ガタンコの両端にのせたように、交互に激しく揺り上げたり、揺り下げたりした。次ぎ、次ぎと、二つの間に波の大きなうねりがもり上って、ローリングした。目の前にいて、中々近付かない。――歯がゆかった。甲板からはロープが投げられた。が、とどかなかった。それは無駄なしぶきを散らして、海へ落ちた。そしてロープは海蛇のように、たぐり寄せられた。それが何度もくり返された。こっちからは皆声をそろえて呼んだ。が、それには答えなかった。漁夫達の顔の表情はマスクのように化石して、動かない。眼も何かを見た瞬間、そのまま硬わばったように動かない。――その情景は、漁夫達の胸を、眼のあたり見ていられない凄さで、えぐり刻んだ。

又ロープが投げられた。始めゼンマイ形に――それから鰻のようにロープの先きがのびたかと思うと――その端が、それを捕えようと両手をあげている漁夫の首根を、横なぐりにたたきつけた。皆は「アッ!」と叫んだ。漁夫はいきなり、そのままの恰好で横倒しにされた。