Classiques japonais avec furigana
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かにこうせん
蟹工船
小林 多喜二
Lisez 蟹工船 (かにこうせん) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 61 890 caractères · 125 écrans
熱くなると、居たまらなくなった虱が、シャツの縫目から、細かい沢山の足を夢中に動かして、出て来る。つまみ上げると、皮膚の脂肪ッぽいコロッとした身体の感触がゾッときた。かまきり虫のような、無気味な頭が、それと分る程肥えているのもいた。
「おい、端を持ってけれ」
褌の片端を持ってもらって、広げながら虱をとった。
漁夫は虱を口に入れて、前歯で、音をさせてつぶしたり、両方の拇指の爪で、爪が真赤になるまでつぶした。子供が汚い手をすぐ着物に拭くように、袢天の裾にぬぐうと、又始めた。――それでも然し眠れない。何処から出てくるか、夜通し虱と蚤と南京虫に責められる。いくらどうしても退治し尽されなかった。薄暗く、ジメジメしている棚に立っていると、すぐモゾモゾと何十匹もの蚤が脛を這い上ってきた。終いには、自分の体の何処かが腐ってでもいないのか、と思った。蛆や蠅に取りつかれている腐爛した「死体」ではないか、そんな不気味さを感じた。
お湯には、初め一日置きに入れた。身体が生ッ臭くよごれて仕様がなかった。然し一週間もすると、三日置きになり、一カ月位経つと、一週間一度。そしてとうとう月二回にされてしまった。