Classiques japonais avec furigana
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ちのもじ
血の文字
黒岩 涙香
Lisez 血の文字 (ちのもじ) de 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 021 caractères · 87 écrans
事だろう、困たなア」と頭を掻く其様如何にも誠しやかなり、下女は何事かと怪しむ如く、開きたる眼に目科の顔を打眺む、目科は猶も失望せし体にて「実は己が余り粗匆しく聞て行たから悪かッたよ、折角内儀の言伝を受て、先の番地を忘れるとは、爾々お前若しあの人の番地を覚えて居やア仕無いか、何でもお前も傍で聞て居たかと思たが女「いえ私しは初めから店へ出て居たから聞ませんでしたが、でも何方の番地ですか目「何方ッてそれ彼の人よ」と言掛て目科は忽ち詰り「えゝ己の様な疎匆かしい男が有うか、肝腎の名前まで忘れて仕舞ッた、えゝ何とかさんと言たッけよあの、それ何とかさんよあの、えゝ自裂たい口の先に転々して居て出て来ない、えゝ何とかさん、何とかさん、おうそれ/\彼のプラトが大変に能く懐んで居る人よプラトが己に噛附うとした時内儀が爾云た、他人で此犬の従うのは唯何とかさんばかりですッて」下女は合点の行きし如く「あゝ分りました夫なら生田さんでしょう、生田さんなら久しく此家の旦那と共に職人を仕て居ましたからプラトを自由に扱います」目科は真実に喜びの色を浮め「あゝ生田さん生田さん、其生田さんを忘れてさ、今度は能く覚えて行う、其生田さんの居る