Classiques japonais avec furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lisez 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 970 caractères · 176 écrans
と、例の、キリキリという音が、植え込みの方から聞こえて来た。頼母は飛び起きて、音の来る方を睨んだ。昨夜は、雑木林の中から、剣鬼のような男が現われて来たが、今夜は、植え込みの中から、何が現われて来るのだろう? 頼母は、もう刀の柄を握りしめた。おお何んたる奇怪な物象が現われて来たことであろう! 躄り車が、耳の下まで白髪を垂らした老人を乗せ――老人が自分で漕いで、忽然と、植え込みの前へ、出て来たではないか! やがて、植え込みの陰影から脱け、躄り車は、月光の中へ進み出た。月光の中へ出て、いよいよ白く見える老人の白髪は、そこへ雪が積もっているかのようであり、洋犬のように長い顔も、白く紙のようであった。顔の一所に黒い斑点が出来ていた。窪んだ眼窩であった。その奥で、炭火のように輝いているのは、熱を持った眼であった。老人の体は、これ以上痩せられないというように、痩せていた。枯れ木で人の形を作り、その上へ衣裳を着せたといったら、その姿を、形容することが出来るだろう。左右の手が、二本の棒を持ち、胸と顔との間を、上下に伸縮し、そのつど老人の上半身が、反ったり屈んだりした。