Classiques japonais avec furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lisez 親鳥子鳥 (おやどりことり) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 828 caractères · 181 écrans
口から出委せですわ」
と美容術についてはお母さんはお父さんに反感を持っていた。
「僕も一つ嘘をついてやります」
「けれどもナカナカお悧巧だから、お前の手には乗りますまいよ」
「鼻は然う低くもないんですのにね」
「いやが上にも綺麗になりたいんでしょう。歯医者に寄ると仰有っても、家のかかりつけのがあると言うんですよ」
「然うしましょう。歯が悪いんですか?」
「二本丈け並びが悪いと仰有るんですが、然うも見えませんの。家で甘やかすから、種々と我侭を言うんでしょう」
「一つ作戦計画を立てて置きましょう」
と僕は親の許可を得て嘘がつけるのだから、大に興味を催した。
容姿に確信のある人丈けに、絹子さんは僕が待ちあぐむほどお化粧に手間を取った。連れ立って出かけたのは十時過ぎだった。久作さんなぞの場合とは全く違う。先方が令嬢で此方はお供の書生のようだ。停留場へ出る途中、
「源太郎さん、私、三越よりも何処よりも行って見たいところがありますのよ」
と絹子さんが言った。僕は、それお出なすったと思ったが、そこは駈引で、
「何処へでもお供致しますよ。何処ですか?」
と受けた。
「本郷の真砂町よ」