Classiques japonais avec furigana
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むほんろん(そうこう)
謀叛論(草稿)
徳冨 蘆花
Lisez 謀叛論(草稿) (むほんろん(そうこう)) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 699 caractères · 19 écrans
御容をあらため、列座の卿相皆色を失ったということである。せめて元田宮中顧問官でも生きていたらばと思う。元田は真に陛下を敬愛し、君を堯舜に致すを畢生の精神としていた。せめて伊藤さんでも生きていたら。――否、もし皇太子殿下が皇后陛下の御実子であったなら、陛下は御考があったかも知れぬ。皇后陛下は実に聡明恐れ入った御方である。「浅しとてせけばあふるゝ川水の心や民の心なるらむ」。陛下の御歌は実に為政者の金誡である。「浅しとてせけばあふるゝ」せけばあふるる、実にその通りである。もし当局者が無暗に堰かなかったならば、数年前の日比谷焼打事件はなかったであろう。もし政府が神経質で依怙地になって社会主義者を堰かなかったならば、今度の事件も無かったであろう。しかしながら不幸にして皇后陛下は沼津に御出になり、物の役に立つべき面々は皆他界の人になって、廟堂にずらり頭を駢べている連中には唯一人の帝王の師たる者もなく、誰一人面を冒して進言する忠臣もなく、あたら君徳を輔佐して陛下を堯舜に致すべき千載一遇の大切なる機会を見す見す看過し、国家百年の大計からいえば眼前十二名の無政府主義者を殺して将来永く無数の無政府主義者を生むべき種を播いてしもうた。