Classiques japonais avec furigana
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むほんろん(そうこう)
謀叛論(草稿)
徳冨 蘆花
Lisez 謀叛論(草稿) (むほんろん(そうこう)) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 699 caractères · 19 écrans
最上の政府は存在を忘れらるる様な政府である。帽子は上にいるつもりであまり頭を押つけてはいけぬ。我らの政府は重いか軽いか分らぬが、幸徳君らの頭にひどく重く感ぜられて、とうとう彼らは無政府主義者になってしもうた。無政府主義が何が恐い? それほど無政府主義が恐いなら、事のいまだ大ならぬ内に、下僚ではいけぬ、総理大臣なり内務大臣なり自ら幸徳と会見して、膝詰の懇談すればいいではないか。しかし当局者はそのような不識庵流をやるにはあまりに武田式家康式で、かつあまりに高慢である。得意の章魚のように長い手足で、じいとからんで彼らをしめつける。彼らは今や堪えかねて鼠は虎に変じた。彼らの或者はもはや最後の手段に訴える外はないと覚悟して、幽霊のような企がふらふらと浮いて来た。短気はわるかった。ヤケがいけなかった。今一足の辛抱が足らなかった。しかし誰が彼らをヤケにならしめたか。法律の眼から何と見ても、天の眼からは彼らは乱臣でもない、賊子でもない、志士である。皇天その志を憐んで、彼らの企はいまだ熟せざるに失敗した。彼らが企の成功は、素志の蹉跌を意味したであろう。皇天皇室を憐み、また彼らを憐んで、その企を失敗せしめた。