Classiques japonais avec furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lisez 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 569 caractères · 336 écrans
外はまっ暗な夜でしたが、不思議なことには、ほの白い一筋の道が森の方へ通じています。その道を歩いてゆくと、ちょうど土手でも乗り越すように、高い城壁をもわけなく越せました。それから先は、魔物が住んでいるという森の中へ、けわしい坂になっています。けれど王子はほの白い道を頼りに、恐れる気色もなく、ずんずん進んで行きました。高い山の頂の方へ、深い森の中を上ってゆくのですが、まるで宙をかけるように、少しも骨が折れないで、非常に早く道がはかどりました。王子はそれに力づいて、息をするまも立ち止まらずに、まっしぐらに上って行きました。
ところが、城から山の頂までの半分ほどの所で、今まで王子の前にほの白く続いていた一筋の道が、ぷつりと切れてなくなりました。王子はびっくりしてあたりを見廻しました。どこからさすとも知れぬぼんやりした明るみに透かして見ますと、何百年たったか知れないほどの大きな木がまっ直に立ち並んでいまして、その枝葉の茂みが空をおおいつくしています。ちょうど、大きな円柱の立ち並んだ広々とした部屋の中にはいったようです。しかもその部屋の広さが限りない上に、燈火の光もなく、何の飾りもなく、足下にはじゅうたんのかわりに、名も知れぬ気味悪い葛や茨が、積もり積もった朽葉や枯枝の上にはいまわっています。