Classiques japonais avec furigana
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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
Lisez 貢太郎見聞録 (へんさいじょき) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 162 caractères · 59 écrans
世の終りを思わすような激動が突如として起り、住屋を倒し、神社仏閣を破り、大地を裂き、その裂いた大地からは水を吹き、火を吐き、海辺の国には潮が怒って無数の人畜の生命を奪うのに対して、茫然自失、僅かに地震の神を祭ってその禍を免れようとしたのは無理もないことである。後世からは、和歌連歌に男女想思の情を通わして、日もこれ足りないように当時の文華に酔うていたと思われる王朝時代の人人も、そうした地震に脅かされる傍、火に脅かされ、風に脅かされた。「方丈記」にも、「去にし安元三年四月二十八日かとよ、風烈しく吹きて静かならざりし夜、亥の時ばかり、都の巽より火出で来りて、乾に至る。はては朱雀門、大極殿、大学寮、民部省まで移りて、一夜の程に塵灰となりにき。火本は樋口富小路とかや、病人を宿せる仮家より出で来たりけるとなん。吹き迷ふ風に、とかく移り行くほどに、扇をひろげたるが如く末広になりぬ。遠き家は煙にむせび、近き辺はひたすら焔を地に吹きつけたり。空には灰を吹きたれば、火の光を映じて普く紅なる中に、風に堪へず吹き切られたる焔、飛ぶが如くにして、一二町を越えつつ移り行く、その中の人現心あらんや。