Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lisez 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 626 caractères · 45 écrans

Aozora Bunko

したんでしょう、なぜでしょう先生」

登は辛うじて答えた、「人間なら誰だって、こうせずにはいられないだろうよ」

おふみは笑った。笑ったように登は感じた。それは聞き違いだったろう、単に呼吸が喉を擦った音かもしれない。だが登には、彼女が笑ったように思えた。

「生きて苦労するのは見ていられても、死ぬことは放っておけないんでしょうか」おふみは枕の上でゆらゆらとかぶりを振った、「――もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょう、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか、そういう望みが少しでもあったんでしょうか」

登は黙って、頭を垂れた。

この問いに答えられる者があるだろうか、と登は心の中で云った。これは彼女だけの問いかけではない、この家族と同じような、切りぬける当てのない貧困に追われ続けて、疲れはてた人間ぜんたいの叫びであろう。これに対して、ごまかしのない答えがあるだろうか。かれらに少しでも人間らしい生活をさせる方法があるだろうか。登は爪が掌にくいこむほど強く両の拳を握りしめていた。

「先生、――」暫くしておふみが云った、「あの人たちがなにかしているようですね」