Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lisez 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 146 caractères · 40 écrans

Aozora Bunko

て下さい」

返辞はいまでなくともよい、よく考えたうえで、正直な気持を聞かせてもらいたい、と登は云った。こまかに感情のあらわれる、大きなまさをの眼は、まともに登をみつめたまま、ぱちぱちとまたたきをした。すると、眸子が水で洗ったように澄みとおり、わたくしに異存はないという意味を、はっきり答えるかのようにみえた。

「よく考えてからです」と登は念を押すように云った、「貧乏ぐらしというものは、あなたには想像もつかないだろうと思うが、私はそれに耐えても、いまの仕事に生きがいがあると信じているのです、考えがきまったら手紙でもよこして下さい」

「はい」とまさをがしっかりした調子で云った、「仰しゃるように致します」

登は急に胸が熱くなるのを感じた。まさをの気持はもうきまっている、考えてみるまでもないし、どんな辛抱でもする気になっている。そして、それは意志のない盲従ではなく、どういう状態にも耐えてゆこうという、積極的な肯定の上に立っているように思われた。登は心をこめて、まさをを見まもりながら微笑した。まさをも頬笑み返したが、眼のふちを染め、それからそっと俯向いた。

「大丈夫だ、あれなら大丈夫だ」