Classiques japonais avec furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lisez 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 174 caractères · 33 écrans
つと卜翁は中へ入る。ふたたび雨戸は中からとざされ、そのまま寂然と静かになった。
本條鹿十郎は聞耳を立て家内の様子を窺ったが何の物音も聞こえない。
「はてな」と小首を傾けた。
その時、突然、家の中から、「あっ!」という女の悲鳴、つづいてドンと重い物が畳へ落ちる音がした。
「しまった!」と鹿十郎が呻いた時、雨戸が中からあけられた。
そこへ立ったは卜翁である。
「本條氏、本條氏!」
「はっ」と云って鹿十郎、ツツ――と前へ進み出た。
「因果を含め観念させ、自首させようと致しましたる所、さすが女の心弱く、急に自害致しましたれば止むなく拙者首打ってござる。いざ首級お受け取り下されい」
こういうことがあってから数日経ったある日のこと、瀬戸内海を堂々と一隻の親船が駛っていた。船首に描かれた三個の文字それは「毛剃丸」というのである。
今、甲板に腹巻を着け陣羽織を着た美丈夫が日没の余光虹よりも美しい西の空を眺めながら感慨深く佇んでいたが、これぞ赤格子九郎右衛門の娘、お菊事本名お粂であった。
船には無数の珍器宝物高貴の織物が積んである。その為船は船足重く喫水深く見えるのであった。