Classiques japonais avec furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
Lisez 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) de 谷 譲次 (たにじょうじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 823 caractères · 283 écrans
そして、ルセアニア人と私と二人の煙草の明りで、私は、国内電報になるのを待って今まで控えていた羅馬の宿屋への電報を書いて、それを給仕に打たせるのに、発車までの残りの時間の全部を費やした。
国境通関業者の制帽が、暗黒のなかで呪文を大唱した。
『ジェノア・ピサ経由、羅馬行き急行! 羅馬ゆき急行!』
これが、私達をナプキンから引き離した。
停電のプラットフォウムには、緑と赤の灯の玉があった。
煤煙。蒸気。光線。万国寝台会社欧羅巴特急車が、傲慢で伊達者な潜勢力を押さえて、駅長の笛を待っていた。明るい窓が、先へ往くほど小さく、長く続いていた。旅行の精神と、遠い都会の誘惑とが、人々を占領した。そこにもここにも、出発前の上吊った声と、着物の擦れ合う音とがあった。騒乱の中から、さっきの荷物運搬人が現われて、予約してある寝台車へ私を救助した。またルセアニアの商人と同じコンパアトメントである。私達は短衣の扣鈕を突つき合って、大笑いした。
汽車が、停電中のヴァンテミイユを見棄てた。雪の帽子をかぶった山頂が、仏蘭西の空に吸収された。車体が軋んで、その隙間から、水の香が流れ込んで来た。