Classiques japonais avec furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lisez 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 469 caractères · 157 écrans
今から慣らしておかにゃ、詰まらんぞ。中毒って死ぬなら今の中じゃないか』
そげな調子で、いつから喰い初めたか判然りませんが、鰒では随分、無茶をやりました。
最初は一番毒の少ないカナトウ鰒をば喰いましたが、だんだん免疫て来ますと虎鰒、北枕ナンチいうものを喰わんとフク喰うたような気持になりまっせん。北枕なぞを喰うた後で、外へ出て太陽光に当ると、眼が眩うてフラフラと足が止まらぬ位シビレます。その気持の良え事というものは……。
それでもダンダンと毒に免疫て来ると見えて、後日には何とものうなって来ます。北枕を喰うた奴も一町内に三人や五人は居るような事でトント自慢になりまっせんケニ、一番恐ろしいナメラという奴を喰うてみました。
ナメラというのは小さい鰒で、全身が真黒でヌラッとした見るからに気味の悪い恰好をしておりますが大抵の鰒好が『鰒は洗いよう一つで中毒らん。しかしナメラだけはそう行かん』と申します。そうかと思うと沖から来る漁夫なぞは『甘い事云いなさんな。ナメラが最極上利く』と云う者も居ります。
そこで私共の放蕩仲間が三四人申合わせてそのナメラを丸のままブツ切りにして味噌汁に打込んで一杯飲る事にしましたが、それでも最初はヤッパリ生命が惜しいので、そのナメラの味噌汁をば浜外れの蒲鉾小舎に寝ている非人に遣ってみました。