Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lisez 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 469 caractères · 157 écrans
場面であったように思う。
ところへ表の扉がガラリと開いて、湊屋の仁三郎が這入って来た。春雨に濡れた問屋張の傘を畳んで、提げて来た中鯛を五六匹土間に投出したスタイルは、まことに板に附いたもので、浴衣の尻を七三に端折った素跣足である。親友の林駒生氏が振返って声をかけた。
「おお。湊屋じゃないか。この寒いのに風邪を引くぞ」
湊屋は頬冠を取って手を振った。
「イカンイカン。これは医学博士でも知らん。自動車に乗る人間には尚更わからん。日本人一流、長生きの法たい」
「今その長生き話が出とるところじゃ。貴公の流儀を一つ説明してみい」
「説明もヘッタクレもあれあせん。雨の降る日に傘さいて跣足で歩きまわれば、それで結構……そこで『オオ寒む』とか何とか云うてこの中鯛で一杯飲んでみなさい。明日死んでも思い残す事あない」
「アハハハ。賛成賛成」
武谷博士が妙な顔をした。蓋、同博士は同大学切っての謹厳剛直の士で、何事に限らず科学的に説明の出来ないものは一毫も相容れない性分であったので、八代大将の松葉喰いの話で少々お冠を曲げて御座るところへ、湊屋一流の無学文盲論が舞込んで来たのでまさか議論の相手にもならず、ますます御機嫌が傾いた次第であった。