Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうかんやま

道灌山

宮本 百合子

Lisez 道灌山 (どうかんやま) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 015 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

田端の汽車は、いつも動いているから目をはなせないし、牧田の牛はのろりのろりと動くから、また面白くて、なかなかその竹垣からどかれなかった。

大きい方の弟が、牧場の土のところどころにある黒い堆積をさして、

「ねえ、あれ、牛のべたくそ?」

と大きな声できいた。

「そうですよ」

一緒に牛をみている女中が、のんびりした調子で答えた。

すると、下の弟が、

「べたくそみせて!」

と、のびあがった。

「あれ、べたくそさ」

権威をもって大きい方の弟が、牧場の土の上に、いくつもあるかたまりを指さしてみせた。

「ふーむ。べたくそ?」

「べたくそ、さ」

わたしは、べたくそに弟たちほど熱中を感じない。わたしには牛の匂いが気にいっているのだった。風の工合で、竹垣のところから、牛小舎の匂いがほんのりきけるときがあった。牛小舎の匂いは、すべっこくて、柔かくて、そして甘かった。におっていると、いいこころもちがした。牛小舎は、牧場のむこうにトタン屋根を光らせている。

子供たちがうっとりとなって、のびやかな動きかたをする牛を見ている間に、母は、よくひとりで祖父の墓まいりをすました。わたしはお墓はきらいだった。