Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とおのへ

遠野へ

水野 葉舟

Lisez 遠野へ (とおのへ) de 水野 葉舟 (みずのようしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 55 903 caractères · 117 écrans

Aozora Bunko

一緒にめしを食っていても、荻原から話しかけることはめったにない。これでどうして、一面識もない私に逢おうなどと思ったろうと思われるほどだ。

私は、新聞社の口が定らないので、しばらくのうちと思って、学校の先生が主幹している、或る経済雑誌の外国新聞の翻訳を受持つことになったが(私は早稲田の経済科の卒業生だ。)ふだんは家にいて、それをやっている。と、荻原は大抵わきに来て黙って坐ってレヴュー・オブ・レヴューの文学欄なんぞを、ひっくり返えして見ている。そのうちに、私も少し倦んでくると、

「面白いことでも書いてあるかい?」

ときくと、

「さあ……」

と言って、その雑誌をつき出す。もうしまいには言葉なんぞも、すっかりぞんざいに成っていたが、それはどちらかと言うと、私の方だけで、荻原の方はまだそう手軽には行かないのだ。そうして、何となく話をしていると、ときどきは珍らしく荻原の文学論が出る。

荻原のは明らかにそれを指すものはないが、生存と言うことに向って、強い恐れを持っている、一種の霊魂教の信者だ。そして絶間なしに空想から妄想の中をさまよっている。……かと思うと、夢のうちにでも見るような、とりとまりのない、美くしい色彩のある感情にあこがれている。