Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とおのへ

遠野へ

水野 葉舟

Lisez 遠野へ (とおのへ) de 水野 葉舟 (みずのようしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 55 903 caractères · 117 écrans

Aozora Bunko

変だと思うので、立って行って、唐紙を開くと、であい頭に、荻原がぬっと立っている。

「君か。」私は驚かされたので、中腹で鋭く言うと、荻原は肩で息をしていて、ろくに口も聞けないようすだ。

「まあ、入りたまえ。」

と明るいところにつれてくると、顔色がひどく青ざめて、目が神経的に鋭くなっている。息づかいがせわしい。

「どうした?」私は二度目に驚いてこう言った。

荻原は黙っていたが、しだいにうなだれてしまう。と思うと、急にうしろを向いて、そこの唐紙が少し開いているのを、あわてて閉めに立った。……素振りがただならぬので、私は、

「どうしたのだ?……そんな真似をして。」

と、しかるように言うと、荻原はほっと吐息をして、

「今、妙なことに出っくわしてね。」

と言うかと思うと、にわかに眼を据えて、恐ろしそうに身慄いをする。

「うむ。」私はその気合いにのまれて声をひそめると、

「幻覚ってものは君、二人一緒でも見られるものかね。」

「分らないな。君が見たって言うのかい。」

荻原は、私の言葉を聞いているかいないか、うなされるように、口の中でくどくどと、

「人の怨み、そんなことはないだろうが、やっぱり何かな……」