Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lisez 遠野へ (とおのへ) de 水野 葉舟 (みずのようしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 55 903 caractères · 117 écrans
微かだが自分のからだを如何することも出来なくなったようで気がじれる。
暫くすると、S君は何か思い出したように、
「君、本当に、も少しいる気はないか? 雪の解けるまで。」
「さあ……」私は大きいあくびをした。「まだ、その雪が解けてなんとかの花が咲くまでは大変だろう?」
「カタゴの花? それまでには二十日も、も少しくらいは間があるだろう。」
「じゃ、もう発とうや。仕事だって駄目だよ。」私は切りすてた調子で言った。すると、
「発たう。明日発たう。」とS君もこの倦んだ心持ちに反抗した調子で気負ってこう言った。
私達はしまいにはこんなふうだった。
で、私の仕事も中途だったが、なんとか始末をつけることにして、それから三日目、三十日に出発することに決めた。
すると、気も取りもどされて来た。仕残してあった仕事に急に手をつけだした。そして二人ともなんとなしに、東京のはなやかな夜や、情を含んだはでな女の言葉を懐しく思い出した。
都会の賑やかさが、暖かく、明るく、媚びられるように、胸に浮かぶ。
二
三月三十日――荷造りをしているうちにひるごろになった。永いこと、床の間の隅に置いてあったカバンの一つには、又一杯に手廻りのものが詰められた。