Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いこん
遺恨
Lisez 遺恨 (いこん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 706 caractères · 22 écrans
然し、女の首にまきついた先生の腕の力は必死であった。先生は女の悲鳴にひきずられて、ズルズルとのびたが、まきつけた腕は放さなかった。
先生は尚も女をひきよせようと焦った。二人の力の平衡によって、力のこもった、然し妙な静止状態がしばらくつゞいた。
先生の口から、ウン、という呻きがもれた。そして、それが最後であった。次第に先生の力がゆるんだ。そして、先生は、死んでいた。
先生の腕をほぐして首をぬいた女はみんなを見廻した。怒っていた。
「なぜ、だまって、見ているのよ。私を見世物にしたわけね」
「そうじゃないよ。ホラ、見ろよ。僕たち、みんな立上っているじゃないか。どうしていゝか、わからなかったんだ。だって、見ろよ。先生はもう死んだんだぜ」
「ウソよ。あのバカ力で、にわかに死ぬものですか」
「だって、動かなくなったじゃないか」
五人は黙って先生を見つめた。先生はたしかに死んでいた。
女はビックリした様子であったが、怒りは消えていなかった。
「この人は、バカ、キチガイよ。死ぬまぎわに、あんなことをするなんて、カイビャク以来、きいたタメシがありゃしない」
みんな、しばらく重々しく、だまっていた。