Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
とかいのゆうき
都会の幽気
豊島 与志雄
Lisez 都会の幽気 (とかいのゆうき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 559 caractères · 21 écrans
私は走ることも立止ることも出来ず、重い足を無理やりに運ばせながら、叫ぼうとしても声は出ず、殆んど息もつけないで、ただ空の方を見あげたが、空は黒ずんで星影一つなく、遙の彼方に繁華な街路の灯が、不気味な薄赤い色を濁った大気に映していた。おう何という広々とした都会だろう! 何という不気味な混濁した都会だろう! 無数の人がうようよと重なり合って、種々雑多な行為を繰返して、何と息苦しく大気を濁らしてることだろう! そして今凡ての人が自分自身の巣の中に眠ってるこの夜中に、嘗てそれらの人の為した姿が、形体を離れた影の気となって、何と無数に迷い出してることだろう!
私は漸くにして下宿の前まで辿りつき、硝子戸を引開けて垂布をくぐって、慴え惑った眼付をほっとした気持ちで定めると、例の大きな掛時計が、悠長に長い振子を振っていた。それを見ると、もう自分の城廓の中に戻ったという気がして、安堵の吐息をつくことが出来た。
それまでは、まだよかったが……。或る日私は、妙に肌寒い薄曇りの午後三時半頃、朝からの球突に疲れて、懐手をしながら帰って来た。下宿まで二三十間ばかりの処へ来ると、その自分の下宿の門口に、ぼんやりつっ立ってる若い男の姿が見えた。