Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のざらし
野ざらし
豊島 与志雄
Lisez 野ざらし (のざらし) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 100 caractères · 39 écrans
」
「へえ? 八百八。」
「そら、伊予の松山の八百八狸って有名な奴さ。」
「へえー、なるほど……。」
日本六十余州を跨にかけたというその老人は、ただ口先だけで感心しながら、分ったのか分らないのか何れとも知れない顔付で、なお木和田五重五郎の名札を眺めていた。向う側にずらりと並んでいる無関心な男女の顔の二三に、薄らとした微笑が浮んだ。
「何とか読み方がありましょうね。まさかゴジューゴローじゃあ……ちょいと通用しぬくかあねえかな。」と云って老人は首を振った。「何せえ慾張った名前ですな。」
日焦けのした顔の皮膚がいやに厚ぼったくて、酔ってるのか素面なのか見当がつかなかった。昌作はぼんやりその顔を見つめた。と俄に、ぎいーとブレーキが利いて電車が止った。入口に先刻から素知らぬ風で向う向きに立っていた車掌が、大声に停留場の名を呼んだ。昌作は急な停車にのめりかけた腰をそのままに立ち上って、「失敬、」と口の中で云い捨てながら、慌てて電車を降りた。
――そうしたことが、いつもなら佐伯昌作の愉快な気分を唆る筈なのに、今は却って、寂寥と云おうか焦燥と云おうか、兎に角或る漠然たる憂鬱を齎したのである。