Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やこ
野狐
田中 英光
Lisez 野狐 (やこ) de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 615 caractères · 39 écrans
翌日、私は集金の予定のある出版社に出かけていった。そこで都合が悪く、先づけ小切手を渡されると、私はそれを近くの、いつも迷惑ばかりかけている、ある出版社の社長に現金にかえて貰いにいった。そして酒を御馳走になってしまうと、桂子と約束の時間に帰れなくなった。その夜、彼女は勤めを休むとはいっていたが、私の帰りが遅いのに腹を立て、きっと勤め先に出かけたに違いない。
それで私は、ひとり多分、社長から貰ったに違いない一升瓶を抱え、本郷から自動車をとばし銀座に出た。彼女の勤め先は、西銀座の「うらら」という店である。
運転手に探して貰うとすぐ分った。これもやはり第三国人の経営だという、ビルの二階の大きな酒場だった。下にボーイが二、三人、白い制服で頑張っていて、怪しげな客は通さないようにしている。私は、本名で出ているという桂子の名前をいうと「ケイコさん」と呼ぶ、けたたましい指名で二階に通される。これが桂子のいう上品な酒場か。
青い照明の下で、鳴りひびくバンド。踊っている客と女給たち。ここに上ったら最後、最低三千円は取られるのを覚悟しなければならない。ところが桂子の話だと、どんな客でも鞄の中に五万から十万の金を持っており、少なくても一万円の金は使ってゆくという。