Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やこ

野狐

田中 英光

Lisez 野狐 (やこ) de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 615 caractères · 39 écrans

Aozora Bunko

男や金のことでも、時々、嘘をついていた。しかし彼女の嘘は、例えば幼女の嘘のようにすぐバレ易く、それだけ、妻の頑固な嘘よりは、私にとって可憐に思われた。妻は、肉体の喜びさえかくし勝ちなのだが、桂子はすべてが開けっぴろげのようで、私には可愛い女だった。

そこで私は、桂子と、夜昼なしの愛欲生活を送りながら、カストリ雑誌なぞにしきりに書きはじめた。そうした雑誌の編集者たちと飲みあかす晩も少なくなかった。生活の乱れに筆の荒れるのを感じるようになる。また金だけ送って疎開先におき放しになっている妻子、特に子供たちに良心的呵責も感じるようになる。更に共産党、人民の党と考えていたものを裏切ったと思う、苦痛もある。

私は眠れないまま、しきりに催眠剤を用いるようになった。はじめはカルモチンなら十錠、アドルムなら二錠で眠られたのが、しまいには、カルモチン五十錠から百錠の間、アドルム十錠ほど、一気にのまなければ眠られなくなった。それも飲むと眠たくなる代りに気持よい昂奮状態が訪れる。そして桂子との交合。その疲労を忘れるため、昼間もアドルムを飲んでは、原稿を書く。

私は前から酒好きで、その酒も強いほうだったが、催眠剤を連用しはじめると、酒だけではまるで酔えなくなった。