Classiques japonais avec furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lisez 野菊の墓 (ななこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 271 caractères · 144 écrans
どうしても承知ができないか」
父は沸える腹をこらえ手を握って諭すのである。おとよは瞬きもせず膝の手を見つめたまま黙っている。父はもう堪りかねた。
「いよいよ不承知なのだな。きさまの料簡は知れてるわ、すぐにきっぱりと言えないから、三日の間などとぬかすんだ。目の前で両親をたばかってやがる。それでなんだな、きさまは今でもあの省作の野郎と関係していやがるんだな。ウヌ生ふざけて……親不孝ものめが、この上にも親の面に泥を塗るつもりか、ウヌよくも……」
おとよは泣き伏す。父はこらえかねた憤怒の眼を光らしいきなり立ち上がった。母もあわてて立ってそれにすがりつく。
「お千代やお千代や……早くきてくれ」
お千代も次の間から飛んできて父を抑える。お千代はようやく父をなだめ、母はおとよを引き立てて別間へ連れこむ。この場の騒ぎはひとまず済んだが、話はこのまま済むべきではない。
七
おとよの父は平生ことにおとよを愛し、おとよが一番よく自分の性質を受け継いだ子で、女ながら自分の話相手になるものはおとよのほかにないと信じ、兄の佐介よりはかえっておとよを頼もしく思っていたのである。