Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lisez 野菊の墓 (ななこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 271 caractères · 144 écrans
湯は竈屋の庇の下で背戸の出口に据えてある。あたりまっ暗ではあれど、勝手知ってる家だから、足さぐりに行っても子細はない。風呂の前の方へきたら釜の火がとろとろと燃えていてようやく背戸の入り口もわかった。戸が細目にあいてるから、省作は御免下さいと言いながら内へはいった。表座敷の方では年寄りたちが三、四人高笑いに話してる。今省作がはいったのを知らない。省作は庭場の上がり口へ回ってみると煤けて赤くなった障子へ火影が映って油紙を透かしたように赤濁りに明るい。障子の外から省作が、
「今晩は、お湯をもらいに出ました」
「まア省作さんですかい。ちとお上がんさい。今大話があるとこです」
というのは清さんのお袋だ。喜兵衛どんの婆さんもいる。五郎兵衛どんの婆さんもいる。七兵衛の爺さんもいた。みんな湯に入ってしまって話しこんでいるらしい。だれか障子をあけて皆が省作に挨拶する。清さんは囲炉裏のはたにごろねをしていた。おとよさんだけが影も見えず声もしない。よいあんばいだなと思う心と、失望みたような心が同時にわく。湯は明いてますからとお袋がいうままに省作は風呂場へゆく。風呂はとろとろ火ながら、ちいちいと音がしてる。