Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のはぎ

野萩

久生 十蘭

Lisez 野萩 (のはぎ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 480 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

「若旦那は?」

「伊作は、よんどころない用事があるっていいますから、あたしがご名代」

「それはどうも、わざわざ」

駅の表へ出ようとすると、安は急に渋って、「こんなところで降ろされてしまったけど、ここが巴里なの」と、ひくい声でたずねた。

「そうよ、ここが巴里よ」

滋子がうなずいてみせると、安は、

「へえ、これが巴里」

あきれたような顔で、煤ぼけた駅前の広場を見まわしていたが、タクシーにのせられるとだんだん機嫌が悪くなって、

「巴里って、ずいぶん、しみったれたところなんだねえ。若旦那、なにがよくて、七年も八年も、こんなところでまごまごしているんだろう……子供のとき、世界一周唱歌で、花のパリスに来てみれば、月影うつすセイン河、なんて、うたったもんだけど、まるっきり、絵そらごとだったよ。呆れたねえ」

と、こきおろしはじめた。滋子はつくづくと安の顔をみて、

「呆れるってのは、こっちのことだわ。こんなところまで、一人でトコトコやってくるなんて、いったい、どうしたというわけなの」

安は案外な落着きかたで、

「こんど、延が店をやってくれることになって、身体があいたから、ちょっと遊びにきたのさ」