Classiques japonais avec furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lisez 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 874 caractères · 20 écrans
」
「あんたは大番頭の元七さん――。」
戸外の男の息は喘ぐ。
「へえ、さようでして、あなた様は?」
「いや、今日はわざわざお越し下されて恐れ入りましたわい。で、早速ながら彼の一件物のこってすがの、今晩先方へこれこれこうと話をつけましたが、あんたの前だが儂もえらく骨を折らされましたて。が、まあ、とどの詰り、お申入れの一札を書かせましてな、はい、これこのとおりお約言の子に持って参じましたから――ま、ちょっとこの戸をお開けなすって。」
「何でございますか手前共にはいっこうお話がわかりませんですが――。」
「え?」
「何の事やら皆目、へい。」
「げ、元七どん、しらばくれちゃいけませんよ。老人は真にする。冗談は抜きだ。」
「ええ念のため申し上げます。当家は生薬の近江屋でござい――。」
「ささ、その近江屋さんから今日の午下りに大番頭の元七さんが見えて――。」
「元七と言えば手前でございますが、お店に唐から着荷があって、今日は手前、朝から一歩も屋外へは踏み出しませんが。」
「えっ、それでは、あの――。」
「何かのお考え違いではございませんか。」
「あっ!」
と叫んで、男が地団太踏んだその刹那、程近い闇黒の奥から太い声がした。