Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lisez 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 515 caractères · 23 écrans
」
若者は仏頂面で答えた。藤吉は化石したように突っ立ったきり――人々はその顔を見守る。
「色恋沙汰ってところがまず動かねえ目安でげしょう?」
と提灯屋が再び沈黙を破った。
「――――」
「心中の片割れじゃごわせんか。」
「――――」
「物盗りじゃありますめえの?」
「――――」
口をへの字に結んで、藤吉は眼を開こうともしない。提灯屋も黙り込んで終った。と、うっとりと眼を開けた藤吉は、忘れ物をした子供のように屍体の周りを見廻していたが、
「履物は? 仏の履物は?」
「へえ、ここにごぜえます。」
町役人手付の一人がうろたえて取り出して見せる黒塗の日和へ、藤吉はちらと眼をやっただけで、
「雨あ夜中の八つ半から降りやしたのう?」
「へえ。」誰かが応ずる。
「勘。」と、藤吉がどなった。「手を貸せ。」
勘次が屍骸を動かすのを待ちかねたように、女の背中と腰の真下へ手を差し入れて土を撫でた藤吉は、すぐその手で足許の大地を擦って湿りを較べているらしかったが、つと顔を上げた時には、すでに、八方睨みといわれたその眼に持って生れた豁達さが返っていた。
「小物は小物だが匕首じゃねえぞ。」誰にともなく彼は呻いた。