Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はりのきのいけにえ

針の木のいけにえ

石川 欣一

Lisez 針の木のいけにえ (はりのきのいけにえ) de 石川 欣一 (いしかわきんいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 187 caractères · 13 écrans

Aozora Bunko

夜半には大町に着く予定であったが、思いのほかに雪が深く、斜面に来てもスキーをはいたまま膝の上までズブズブと埋まってしまうという始末。二人は無言のままラッセルしあいながら、おぼろな雪あかりをたよりに午前三時半ごろ野口着、駐在所に届けて大町へ、警察署に立ちよってから対山館へ着いたのが四時過ぎであった。

*

時刻が時刻だから、火の気というものは更にない。百瀬氏はとりあえず二人を食堂に招き入れて、ドンドンとストーヴに石炭を投げ込んだ。話を聞くと小屋に残して来た生存者六名中、江口氏は凍傷がひどいので心配だが、他の人々は大丈夫だ。埋ずまった四人はとても助かるまい。が、掘り出すのは容易だろう。とにかく人夫を二十人至急に送ろうということになった。

*

大町は電気で打たれたように驚いた。八千五百に余る老幼男女が、ひたすらに雪に埋ずまった四名を救い出すことのみを思いつめた。こうなれば暮れもない。正月もない。人は黎明の雪を踏んで右に左に飛びかった。警察署長は野口に捜査本部をうつし自ら出張、指揮をとった。署長の命で小笠原森林部長、丸山、遠藤両巡査が現場に向かって出発した。