Classiques japonais avec furigana
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はちのき
鉢の木
山本 周五郎
Lisez 鉢の木 (はちのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 534 caractères · 28 écrans
のである、兄妹は息をのみ耳を傾けた。するとさらに人の足音が門ぐちへ近寄り、たのもうという声がした、「……壱式どのに御意を得たい、たのもう」萩尾は兄の顔を見あげ、すぐに立っていって雨戸をあけた、「……まあ」とおどろきの声をあげる萩尾を押しのけるように、鎧櫃を背負った佐伯又左衛門がずかずかとはいって来た。
「壱式どの出陣のお支度だ」かれはそう云いながら、鎧櫃をそこへ置き、むぞうさにあがって来て四郎兵衛の前へ坐った、四郎兵衛は左手に刀をひきつけたまま唖然と眼を瞠っている、又左衛門は汗の光る額をあげ、一語ずつはっきりと意味をつよめながら、「……徳川どの東征の留守を覘って、治部少輔どのが兵を挙げた、いまその先鋒四万余騎が伏見城へとり詰めているという、城兵すべて千八百騎、四万の大軍を相手に、全滅を期しての籠城ということだ」「して……」四郎兵衛はぐいと膝をすすめた、「して伏見の大将は誰びとかおわかりか」「大将は鳥居元忠どの、副将は松平家忠どのと聞いた」「それはまことか、伏見城の守将が鳥居……」云いかけて四郎兵衛ははっと喘いだ、「たしかに誤りはない、家僕のひとりが大阪からの帰りに、伏見で現に見て来た