Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぎんざのあさ
銀座の朝
岡本 綺堂
Lisez 銀座の朝 (ぎんざのあさ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 520 caractères · 3 écrans
花の露鮮やかに見らるるも嬉し。鉄道馬車は今より轟き初めて、朝詣の美人を乗せたる人力車が斜めに線路を横ぎるも危うく、活きたる小鰺うる魚商が盤台おもげに威勢よく走り来れば、月琴かかえたる法界節の二人連がきょうの収入を占いつつ急ぎ来て、北へ往くも南へ向うも、朝の人は都て希望と活気を帯びて動ける中に、小さき弁当箱携えて小走りに行く十七、八の娘、その風俗と色の蒼ざめたるとを見れば某活版所の女工なるべし、花は盛の今の年頃を日々の塵埃と煤にうずめて、あわれ彼女はいかなる希望を持てる、老たる親を養わんとにや。わが嫁入の衣裳の料を造らんとにや。
八時をすぐれば街はいよいよ熱閙の巷となりて、田舎者を待って偽物を売る古道具商、女客を招いて恋を占う売卜者、小児を呼ぶ金魚商、労働者を迎うる氷水商、おもいおもいに露店を列べて賑わしく、生活のために社会と戦う人の右へ走り左へ馳せて、さなきだに熱き日のいよいよ熱く苦しく覚うる頃となれば、水撒人足の車の行すぎたる跡より、大路の砂は見る見る乾きてあさ露を飜し尽したる路傍の柳は、修羅の巷の戦を見るに堪えざらんように、再び万丈の塵を浴びて枝も葉も力なげに垂れたり。