Classiques japonais avec furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lisez 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 745 caractères · 216 écrans
他人に気取られずに物を見る。――こういう見方で見ているのであった。「これはおかしい」と思いながら、老人の瞳の向いている方へ、弓之助はこっそり眼をやった。そっちに小座敷が出来ていた。そこに二人の町人がいた。その一人のやっている事が、弓之助の心をちょっとそそった。茶飲み茶椀と土瓶とで、変な芸当をしているのであった。茶椀の数は十個あった。しかし土瓶は一個しかなかった。その十個の茶飲み茶椀を、ある時はズラリと一列に並べある時はタラタラと二列に並べ、または方形にまたは弧形に、そうかと思うと向かい合わせたりした。そのつど土瓶の位置が変わった。非常に手早くやるのであった。いったい何をしているのだろう? そうやって遊んでいるのだろうか? 座敷の隅で、チビチビ酒を飲んでいた。見ているような見ていないような、不得要領な眼使いを一人の町人はして、茶椀の変化へ眼を付けていた。二人は懇意の仲とも見え、また全くの他人とも見えた。そういう不思議な茶椀の芸当が、しばらくの間繰り返された後、二人の町人は茶屋を出た。ややあって老武士が編笠を冠った。
「銅銭会の茶椀陣」こう老武士は呟くようにいった。