Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かぎ

鍵

谷崎 潤一郎

Lisez 鍵 (かぎ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 102 182 caractères · 200 écrans

Aozora Bunko

と云って、病人によく見えるような位置に台を持って来て据える。貰い物の果物の中に病人の好きな伊豫柑があったので、ミクサーで絞って与える。

三時、敏子と小池さんに頼んでおいて二階に上り、日記をつけてから睡眠を取る。今日はさすがに睡気が溜っていたので、約三時間ぐっすりと眠る。………敏子今夜は夕飯後間もなく、午後八時に引き上げる。婆や九時半頃に去る。………

四月二十日。………午前一時、小池さんが二階へ寝に行く。そのあと私一人病室に附き添う。病人は宵からうつらうつらしていたようであったが、小池さんが去ってから十数分後、どうも眼を覚ましているらしいけはいを何となく感じる。薄暗い蔭の方に臥ているので、はっきり分らないのであるが、微かな身じろぎとともに口をムニャムニャさせたような気がしたからである。そうっと覗き込んでみると、推察の通り、いつの間にか眼を開けている。その眼は私の顔を超えて、もっと向うの方を見ている。あの、敏子が活けたライラックの花、―――病人の眼はそこに注がれているらしい。スタンドの光線を遮蔽して、室内のほんの一部分だけを、辛うじて新聞が読める程度に明るくしてあるのだが、その明るい光の圏の端の方に、ライラックが仄白く匂っている、―――その白い影を、見るともなく視詰めて何か考えているような眼つきである。