Classiques japonais avec furigana
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さこく
鎖国
和辻 哲郎
Lisez 鎖国 (さこく) de 和辻 哲郎 (わつじてつろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 443 306 caractères · 875 écrans
「小鳥を殺し大鳥を助ける」という右近の決断が、信長と宣教師との間に醸し出されたかも知れぬ暗雲を、未然のうちに防いだのである。
このように、肉親を犠牲にするという右近の決意は、キリスト教のために大きい貢献をしたのであるが、しかしその犠牲そのものは、遂に捧げられずにすんだ。というのは、父のダリヨが、その娘と孫を救ったのである。彼は娘や孫を見捨てる気持になれず、高槻の城を出て、伊丹の村重の城へ奔った。娘や孫が死すべきであるならば、おのれも運命を共にしようと彼は考えていた。伊丹の城内にいた多数の親戚も、部下をつれて彼のもとに集まった。そうなると、子の右近は村重に叛いたが、父のダリヨは叛かなかったということになる。人質を処分すべき理由は半ば消失したのである。だから村重も、事を荒立てようとはせず、知らぬ振りをして放任してしまったのであった。
がそうなると高山ダリヨは、荒木村重の味方について信長に叛いたということになる。その報いは信長の方から受けなくてはならない。一年の後、伊丹の有岡城が陥落したとき、信長はかなり残酷な大量処刑を行わせた。ダリヨも勿論その中に含まれるであろうと考えられ、彼を敬愛するキリシタンたちは熱心に彼のために祷っていた。