Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lisez 鎧櫃の血 (うし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 48 702 caractères · 99 écrans
「おれは上野から来たのだ。ひと晩泊めてくれ。」と、治三郎は言った。
「上野から……。」と、男は不安そうに相手の姿をながめた。「お気の毒ですが、どうぞほかへお出でを願いとうございます。」
言葉は丁寧であるが、すこぶる冷淡な態度をみせられて、治三郎はやや意外に感じた。ここらに住むものは彰義隊の同情者で、上野から落ちて来たといえば、相当の世話をしてくれると思っていたのに、彼は情なく断るのである。
「泊めることが出来なければ、少し休息させてくれ。」
「折角ですが、それも……。」と、彼はまた断った。
たとい一泊を許されないにしても、暫時ここに休息して、一飯の振舞にあずかって、それから踏み出そうと思っていたのであるが、それも断られて治三郎は腹立たしくなった。
「それもならないと言うのか。それなら雨戸を蹴破って斬り込むから、そう思え。」
戦いに負けても、疲れていても、こちらは武装の武士である。それが眼を瞋らせて立ちはだかっているので、男も気怯れがしたらしい。一旦引っ込んで何か相談している様子であったが、やがて渋々に雨戸をあけると、そこは広い土間になっていた。治三郎を内へ引入れると、彼はすぐに雨戸をしめた。